椎骨(ついこつ)の特徴
椎骨は「椎体(ついたい)」と呼ばれる前方の部分と「椎弓(ついきゅう)」と呼ばれる後方の部分からできています。
そして椎体と椎弓の間には「椎孔(ついこう)」と呼ばれる穴が空いています。
上の椎体と下の椎体の間には「椎間板(ついかんばん)」が存在して、互いの椎体を連結しています。椎間板は歩行など日常動作の衝撃に対してクッションの役割があります。
椎弓には「棘突起(きょくとっき)」や「横突起(おうとっき)」と呼ばれる突起があり、筋肉の付着部になっています。
椎骨の前方では椎間板を介して上下の連結をしていますが、椎骨の後方では「椎間関節(ついかんかんせつ)」と呼ばれる関節で上下の連結をしています。
椎孔が上下に重なるとトンネルができます。そのトンネルを「脊柱管(せきちゅうかん)」と呼び、中には「脊髄(せきずい)」が通っています。
この脊柱管が狭くなると「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」になると言われています。
脊柱は全体に3つのカーブが存在します。
頚椎では「前湾のカーブ」
胸椎では「後弯のカーブ」
腰椎では「前湾のカーブ」
があり、このカーブが有ることで衝撃吸収能力を高めています。このカーブは「生理的湾曲(せいりてきわんきょく)」と呼ばれます。
頚椎(けいつい)
頚椎は7個あります。
上から「第1頚椎(だいいちけいつい)」「第2頚椎(だいにけいつい)」と呼び、そして一番下の「第7頚椎(だいななけいつい)」まで続きます。
特徴的な形をしていることから第1頚椎を「環椎(かんつい)」、第2頚椎を「軸椎(じくつい)」、第7頚椎を「隆椎(りゅうつい)」と呼ぶこともあります。こう聞くと他の椎骨にも別名がありそうですが、それ以外はありません。
※ちなみに火葬場で「喉仏」と説明されて拾う骨は第2頚椎(軸椎)です。
7個の頚椎は前側のカーブがあります。このカーブを「前湾(ぜんわん)」と呼びます。そしてこのカーブが無くなると「ストレートネック」になります。
英語では「cervical vertebra」と呼ばれ、その頭文字を取り「C1」「C2」・・・と表されることもあります。
頚椎は「横突孔(おうとつこう)」と呼ばれる穴があり、そこを「椎骨動静脈(ついこつどうじょうみゃく)」が通ります。
第1頚椎と第2頚椎は特殊な形をしていますが、それ以外の5個はほぼ同じ形をしています。
椎体は短く小さいですが、下位のものほど大きくなっていきます。
第7頚椎は棘突起が他のものに比べて大きくなっており、皮膚の上からでも触知が容易できます。
「隆椎(りゅうつい)」とも呼ばれ、ランドマークとしても活用されます。
第1頚椎(環椎:かんつい)
第1頚椎と第2頚椎は他の頚椎に比べて特徴的な形をしています。
椎体および棘突起がなく全体に環状になっており、その形から「環椎(かんつい)」と呼ばれます。
第2頚椎(軸椎:じくつい)
第1頚椎と第2頚椎は他の頚椎に比べて特徴的な形をしています。
椎体の上面に大きな「歯突起(しとっき)」呼ばれる突起があり、それが環椎との関節「環軸関節(かんじくかんせつ)」の回転運動の軸になります。そのことから第2頚椎を「軸椎(じくつい)」とも呼びます。
頚椎(けいつい)
※第3~第7頚椎はほぼ同じ形をしています
胸椎(きょうつい)
胸椎は12個あります。
胸椎の特徴としては「肋骨(ろっこつ)」と関節していることです。胸椎は肋骨と関節している骨ですので12個あります。
胸椎も一番上の「第1胸椎(だいいちきょうつい)」から始まり「第12胸椎(だいじゅうにきょうつい)」まであります。
12個の胸椎もカーブを描きますが、頚椎とは逆のカーブになります。このカーブは「後湾(こうわん)」と呼ばれます。
英語では「thoracic vertebra」と呼ばれ、その頭文字を取り「T1」「T 2」・・・と表されたり、「Th1」「Th2と」表されたりします。
胸椎(きょうつい)
胸椎は典型的な椎骨の形をしています。
しかし肋骨と連結するための関節面を持つことが、胸椎の大きな特徴の1つです。
胸椎も頚椎と同じように、下位へ行くほど椎体は大きくなります。
腰椎(ようつい)
腰椎は5個あります。
腰椎も頚椎や胸椎と同じように、上から「第1腰椎(だいいちようつい)」「第2腰椎(だいにようつい)」と呼ばれ、一番下は「第5腰椎(だいごようつい)」と呼ばれます。腰椎も頚椎と同じ前湾のカーブが存在します。
この腰椎の前湾のカーブが無くなると「腰椎椎間板ヘルニア」になり、カーブが強くなると「腰部脊柱管狭窄症」になります。
腰椎の上部は胸椎と連結され、下部は「仙骨(せんこつ)」と連結されています。
英語では「lumbar vertebra」と呼ばれ、その頭文字を取り「L1」「L2」・・・と表されたりします。
腰椎(ようつい)
腰椎は他の椎骨に比べて大きく頑丈に発達しています。
典型的な形に見えますが、各突起の名前が違ってきますので注意が必要です。