全身の骨格 － 頭蓋骨（脳頭蓋）

頭蓋骨（とうがいこつ）

頭蓋骨（とうがいこつ）は15種23個の骨からなり、下顎骨と舌骨以外は不動的に結合されています。

頭蓋腔をなす脳頭蓋（のうとうがい）と、顔面をつくり眼窩、鼻腔、口腔などの基礎をなす顔面頭蓋（がんめんとうがい）に分けられます。

頭蓋骨間の連結は大部分が縫合により結合し、一部が軟骨結合（蝶後頭軟骨結合）により結合します。

脳頭蓋（のうとうがい）　【6種8個】

• 後頭骨（こうとうこつ）　【1個】
• 蝶形骨（ちょうけいこつ）【1個】
• 側頭骨（そくとうこつ）　【2個】
• 頭頂骨（とうちょうこつ）【2個】
• 前頭骨（ぜんとうこつ）　【1個】
• 篩骨（しこつ）　　　　　【1個】

蝶形骨（ちょうけいこつ）

後頭骨の直前で頭蓋底の中央にあり、羽を広げた蝶の形をした骨

骨体および6個の突起（左右の大翼、小翼、翼状突起）からできている

• 体（たい）：ほぼ立方形を呈し、その左右には大翼・小翼がつき、後面は後頭骨と癒合する
• 大翼（たいよく）：体後部の外側から起こり、前外側方へ翼状にひろがる部分
• 小翼（しょうよく）：体前端の両側から左右に向かって突出する扁平三角形の突起
• 上眼窩裂（じょうがんかれつ）：小翼と大翼の間にある裂孔
• 翼状突起（よくじょうとっき）：体および大翼根部の下面から下方に向かって出る突起
• 内側板（ないそくばん）：翼状突起の一部
• 外側板（がいそくばん）：翼状突起の一部
• 蝶形骨洞（ちょうけいこつどう）：体の内部の空洞（副鼻腔）で占められる部分
• トルコ鞍（とるこあん）：体の上面の前後が高く中央部が深くくぼんだ鞍状の部分
• 正円孔（せいえんこう）：大翼の根部にある孔で前方のもの。三叉神経第2枝（上顎神経）を通す
• 卵円孔（らんえんこう）：大翼の根部にある孔で中央にある大きな孔。三叉神経第3枝（下顎神経）を通す
• 棘孔（きょくこう）：大翼の根部にある孔で最も小さな孔。中硬膜動脈および三叉神経第3枝（下顎神経）硬膜枝を通す
• 翼突窩（よくとつか）：翼状突起の後面で、内側板および外側板の間にできる深い窩

側頭骨（そくとうこつ）

脳頭蓋の外側壁および頭蓋底の一部を構成し、蝶形骨・頭頂骨および後頭骨と結合する1対の骨

骨内には平衡覚器および聴覚器を収容する

鱗部（りんぶ）、岩様部（がんようぶ）、鼓室部（こしつぶ）の３部からなる

[鱗部（りんぶ）]　
側頭部の外側上部を占める貝殻状の部分で、前方は蝶形骨大翼と上方は頭頂骨と、後下方は岩様部と結合する

• 外耳孔（がいじこう）：外側面はかるく隆起し、その下部にある
• 頬骨突起（きょうこつとっき）：前上方から前方に向かう水平に出る太くて長い突起。頬骨の側頭突起と結合して頬骨弓（きょうこつきゅう）をつくる
• 下顎窩（かがくか）：頬骨弓の基部で前後の2部に分かれた部分
• 関節面（かんせつめん）：下顎頭と相対して顎関節を作る

[岩様部（がんようぶ）]

• 乳様突起（にゅうようとっき）：外耳孔の後下方から前下方に突出する突起
• ​錐体（すいたい）：内側に伸びた四角錐状の部分

[鼓室部（こしつぶ）]　
外耳道を囲む部分

• 茎状突起（けいじょうとっき）：錐体部後下面の後外側端から前下方に向かって突出する鉄筆状の突起

前頭骨（ぜんとうこつ）

脳頭蓋の前壁を形成する貝殻状の含気骨。

後方は頭頂骨と、下部では蝶形骨小翼と、下方では頬骨・蝶形骨大翼・篩骨・涙骨・上顎骨前頭突起および鼻骨に接する

• 前頭鱗（ぜんとうりん）：額（ひたい）の骨格をつくり、垂直に立つ貝殻状の部分
• 前頭結節（ぜんとうけっせつ）：前上方に向かって凸隆し、左右の最も突出する部分
• 眼窩上縁（がんかじょうえん）：眼窩部の上演で鈍い弓状縁をなす部分
• 頬骨突起（きょうこつとっき）：眼窩上縁の外側端の外下方に突出した部分

篩骨（しこつ）

前頭骨の左右の眼窩部の間にある含気骨

鼻腔および眼窩壁の構成する

• 篩板（しばん）：中央の水平位にある骨板。嗅神経、前・後篩骨動脈および同名神経の通る多数の小孔が縦に2列ならぶ
• 鶏冠（けいかん）：篩板の上方で前方に偏した所の鶏冠（とさか）のような突起
• 垂直板（すいちょくばん）：篩板の下面から下方に向かって突出する不正四角形の骨板。骨性鼻中隔の一部
• 篩骨迷路（しこつめいろ）：垂直板の両側で篩板の下方に連なる長方形の部分
• 上鼻甲介（じょうびこうがい）：中鼻甲介の高上方にある貝殻状の単突起
• 中鼻甲介（ちゅうびこうがい）：上鼻甲介の下方で、内側壁の全長から下方に突出し内側壁の下界をつくる部分