肩部の筋
肩部の筋は
「大きな力を出すアウターマッスル」と「関節の安定に寄与するインナーマッスル」があります。
アウターマッスル
三角筋(さんかくきん)
大胸筋(だいきょうきん)※胸部の筋で説明
インナーマッスル
棘上筋(きょくじょうきん)
棘下筋(きょくかきん)
小円筋(しょうえんきん)
肩甲下筋(けんこうかきん)
があります。
インナーマッスルの4つの筋肉を合わせて
「腱板(けんばん)」「回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)」「ローテーターカフ」
などと呼ぶこともあります。
これらは包むように上腕骨頭を肩甲骨の関節に押し当てることで、肩関節の安定性を保っています。
スポーツ現場では、アウターマッスルは外見上、確認しやすいですのでトレーニングの効果を実感しやすいのですが、インナーマッスルはそれが出来ません。
アウターマッスルとインナーマッスルのバランスが悪くなると、肩関節周囲の痛みや不具合などが発生します。
三角筋(さんかくきん)
起始:鎖骨の外側端、肩峰、肩甲棘から起こり、外側方に走り肩関節をつつんで下方に向かう
停止:上腕骨の三角筋粗面
作用:上腕を水平位まであげる
神経:腋窩神経
三角筋は方の丸みを作る大きく強い筋です。大きな力を出す時に使われる筋です。
「前部」「中部」「後部」といった3つの線維からなり、それぞれ上腕骨の挙上の方向(前方・側方・後方)が変わります。
棘上筋(きょくじょうきん)
起始:棘上窩、棘上筋膜から起こり、外側方に走る
停止:上腕骨の大結節、肩関節包
作用:三角筋を助けて、上腕を外側方に挙げる
神経:肩甲上神経
肩関節は不安定性を犠牲に大きな可動域を持ちます。
棘上筋は上方から上腕骨頭をしっかり肩甲骨に押し付けることで、肩関節の安定を保っています。安静時にも働いており絶えずストレスがかかっています。
また肩甲棘と鎖骨と上腕骨で出来た狭いトンネルの中を通過しているため、何かしらの原因で棘上筋が圧迫されると「インピンジメント症候群」と呼ばれる症状を起こすこともあります。
これといった原因が思い当たらなくて50肩になった場合、その多くに棘上筋の問題があります。
棘下筋(きょくかきん)
起始:棘下窩、棘下筋膜から起こり、外側方に向かう
停止:上腕骨の大結節の中央部、肩関節包
作用:上腕骨を外側方に回旋する
神経:肩甲上神経
棘下筋もインナーマッスルの1つです。上腕骨頭を後方から安定させています。
小円筋(しょうえんきん)
起始:外側縁に近い肩甲骨の後面、棘下筋膜から起こり、外側方に走る
停止:上腕骨の大結節、肩関節包
作用:上腕を外側方に回旋する
神経:腋窩神経
小円筋はボールを投げたあと(フォロースルー期)で大きな牽引力が掛かります。
野球の練習などでそれが繰り返されると小円筋が硬くなり、後方から肩関節を押し出すようになります。
スポーツ障害(特に投球障害、もしくはそれに類似する動作)で肩関節に痛みがある場合、小円筋に対するアプローチが必要になります。
肩甲下筋(けんこうかきん)
起始:肩甲下窩、肩甲下筋膜から起こり、筋束は外側方に向かって集まる
停止:上腕骨の小結節、小結節稜、肩関節包
作用:上腕を内側方にひき、かつ内方に回す
神経:肩甲下神経
肩甲下筋もインナーマッスルの1つです。肩甲下筋は肩甲骨の内側(肋骨と肩甲骨の間)についており触診することは困難です。
大円筋(だいえんきん)
起始:肩甲骨の下角の後面から起こり、前外側方に向かう
停止:上腕骨の小結節稜
作用:上腕を内側後方にひく
神経:肩甲下神経
大円筋は腱板には含まれません。
大円筋は小円筋の下で同じように走行しています。
しかし付着部位が小円筋とは違い、そのため作用も小円筋とは逆で上腕骨の内旋(と内転)になります。
これは肩甲下筋や広背筋と同じ作用になります。