【整体コラム】の「見分けるべき危険な腰痛」内の記事で、「腰痛を起こす背骨の病気」を深掘りします。←こちらもあわせて御覧ください。
今回は「危険な腰痛 脊椎腫瘍・脊髄腫瘍 編」です。

脊椎腫瘍とは
脊椎(背骨)にできる腫瘍です。
原発性と転移性があります。
原発性脊椎腫瘍とは、脊椎で腫瘍ができたもので、良性と悪性があります。
転移性脊椎腫瘍とは、他の部位でできた腫瘍が転移してきたもので、こちらは悪性腫瘍になります。
※良性腫瘍と悪性腫瘍の違い
良性腫瘍は、正常な組織と境界がはっきりしており、成長も遅く全身的な影響も少なくなっています。神経などを圧迫していなければ特に問題はありません。
悪性腫瘍は、正常な組織との境界がはっきりしておらず、周囲の組織との境界が不鮮明になります。
成長も早く、何もしないと全身に転移していき予後不良となります。
脊髄腫瘍とは
脳や脊髄は内側から「軟膜」「くも膜」「硬膜」という膜に包まれ守られています。
脊髄腫瘍は以下のように分類されます。
- 硬膜外腫瘍
硬膜を境に外側にできる腫瘍。
硬膜の外から脊髄を圧迫したり、脊椎を破壊して脊柱を不安定にさせたりすることもあります。
- 硬膜内髄外腫瘍
硬膜より内側で、脊髄の外側にできる腫瘍
髄膜腫、神経鞘腫と呼ばれる良性腫瘍の発生頻度が高くなっています。
- 髄内腫瘍
脊髄の中にできるもの
脊髄腫瘍全体の中では5~15%と、発生頻度は低くなっています。
脊髄腫瘍は脳腫瘍に比べ患者数は少なく、比較的良性腫瘍が多いことが特徴です。
脊椎腫瘍・脊髄腫瘍の症状は
- 脊椎腫瘍
頚椎にできれば頚部痛がおきるなど、できた部位により痛みの部位も異なります。
腰椎にできると腰痛がおきるので、始めから脊椎腫瘍を疑うようなことは無いと思われます。
腫瘍が正常な骨を破壊したり、脆くなったりするなどで痛みが発生します。
安静にしていても痛みが強かったり、徐々に痛みが増していったりすることもあります。
腫瘍が大きくなると脊髄神経を圧迫して、様々なしびれや麻痺を起こすこともあります。
- 脊髄腫瘍
腫瘍の種類に関わらず神経を圧迫するので、運動障害や神経痛などの神経症状が出ます。
急激な腰痛や背部痛が起こることもあります。
排尿障害や排便障害、下肢が動かなくなることもあります。
痛みの特徴
安静にしていても、強い痛みが出ることがあります。
頸部で起これば、首から下や腕や手に麻痺や運動障害がおきます。
背部では、そこから下と背部痛などが起こります。
腰部では、腰痛や下肢の麻痺や運動障害がおきます。
患部を押したり叩いたときだけ傷んだり、腰や背中を動かした時に周囲へ痛みが広がったりすることもあります。
脊椎腫瘍・脊髄腫瘍の治療
治療として、放射線治療や手術が行われます。
悪性腫瘍の場合、抗がん剤治療も行います。
手術部が小さく、また神経の束であるため、術後に運動障害など後遺症の可能性が高くなります。
まとめ
脊椎腫瘍、脊髄腫瘍は良性も悪性もある病気です。
転移を含めて経過が大事な病気になります。
この病気も早期発見が大事になります。
追記
3回に分けて「脊椎カリエス」「化膿性脊椎炎」「脊椎腫瘍・脊髄腫瘍」をお話しさせていただきました。
なじみがなく発症率も高くない病気ですが、頭の片隅に入れておくと良いかもしれませんね。
普通の腰痛との判断が難しいところもありますが、
- 背中(患部)をたたくと痛い
- 安静にしていても痛い
- 発熱がある
など、特徴的な症状もあります。
不安な時は速やかに専門病院で受診してくださいね。