腸骨(ちょうこつ)
腸骨の上の縁を「腸骨稜(ちょうこつりょう)」と呼び、その下を「大殿筋(だいでんきん)」「腰方形筋(ようほうけいきん)」などが付着します。腸骨の内側(体の前側)には「腸骨筋(ちょうこつきん)」が付着します。
この腸骨稜は体のランドマークになります。腸骨の代表的なランドマークは他に、腸骨稜を前に滑った場所にある「上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)」、後に滑っていった場所に「上後腸骨棘(じょうこうちょうこつきょく)」があります。
※上前腸骨棘を「ASIS」、上後腸骨棘を「PSIS」と呼ぶこともあります。
上前腸骨棘には「縫工筋(ほうこうきん)」や「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」が付着します。
上後腸骨棘は私達施術家が意外と触るのに難しい部位です。手技セミナーでは当たり前に出てくるランドマークですが、骨盤模型で見るほど分かりやすくはありません。
坐骨には「坐骨結節(ざこつけっせつ)」と呼ばれる部位があります。
姿勢良く座った状態で、座面にお尻の骨を感じると思います。このお尻の骨が坐骨結節です。姿勢が崩れると坐骨結節は感じられなくなるので、良い座り姿勢の目安としても良いかもしれません。
ここには「ハムストリング」と呼ばれる筋肉が付着します。これは4つ有る筋肉の総称で、スポーツで肉離れのしやすい筋肉です。
恥骨には「恥骨筋(ちこつきん)」や「内転筋群(ないてんきんぐん)」「薄筋(はくきん)」が付着します。
左右の恥骨の先端は体の中心で軟骨により結合されています。これを「恥骨結合(ちこつけつごう)」と言います。
女性が出産する際、ホルモンの影響により恥骨結合が緩み骨盤が広がることで赤ちゃんがスムーズに産道を通ります。
仙骨(せんこつ)
仙骨は5個の「仙椎(せんつい)」が癒合して一つの仙骨になります。全体として逆二等辺三角形を呈します。
第5腰椎の下に仙骨はあります。
尾骨は3~5個の「尾椎(びつい)」が癒合して一つの尾骨になります。
一般的には「尾骶骨(びていこつ)」と呼ばれることが多いと思います。
尻もちをついたときなど尾骨骨折を起こすこともありますが、直腸に干渉しているなどよほど重傷でない限り手術が行われることはありません。
仙腸関節(せんちょうかんせつ)
仙骨と腸骨が連結している関節を仙腸関節と呼びます。一般的に関節と言われると「肩関節」や「膝関節」など大きく動く関節を想像すると思います。
これかの関節を「可動関節(かどうかんせつ)」と呼ぶのに対して、仙腸関節のようにほとんど動かない関節を「不動関節(ふどうかんせつ)」と呼びます。
男女の骨盤の違い
女性の骨盤は「骨盤上口(こつばんじょうこう)」と呼ばれる部位が楕円形に対して、男性の骨盤上口の形はハート形になっています。「恥骨下角(ちこつかかく)」と呼ばれる角度は、女性では約80°、男性では約60°になっています。腸骨も女性では開いているのに対して、男性では閉じています。
これらの違いは、女性は妊娠・出産に適合するためと言われています。